遺言とは

相続トラブルを未然に防止するにはしっかりとした遺言書を用意することが必要という話をしました。また、民法に定められている遺言とは何かについても簡単に話をしました。

今回の記事では、遺言にはどのような種類があるのか、遺言に定めることのできる内容にはどのようなものがあるか、有効な遺言となるにはどのような条件を満たす必要があるのかなどについて、上記の記事に補足して説明していこうと思います。

遺言で相続トラブルを回避

遺言がある場合の相続・遺留分との関係

遺言は死者の残した最後の意思表示

遺言は死者の残した最後の意思表示です。

遺言には、遺言者の思いにより、実に様々な内容が書かれています。遺言者の財産に関することは当然ですが、それ以外にも、遺言者の死後の家族の生活に関すること、残された人々に対する感謝の気持ちなど様々なことが書かれています。

遺言者としては、残された人々に、遺言に書かれたことをぜひとも実現してもらいたいと考えているはずです。だからこそ、最後の意思表示として、遺言に残したのだと思います。残された人々も、遺言者の意思を尊重して、遺言の実現に努めることでしょう。

ただ、民法に定める遺言は、遺言に定められたすべてのことを実現することを目的としているわけではありません。民法では、遺言者の財産の承継に関することを中心に、遺言で定められることは限定されています。民法では、その限定されたことについて、遺言者の意思を実現させる仕組みなのです。

遺言は厳格な方式が定められている

遺言者が亡くなった後、相続人の間で遺言の内容に疑義が生じて争いが生じたとしても、遺言者が亡くなった後では、本人に遺言の内容を確認することができません。

また、遺言の内容のうち、遺言者の財産に関するものや、遺言者と一定の関係のある人の身分関係にかかわることなどは、相続人をはじめとする関係者に重大な影響を及ぼす可能性がありますので、紛争が生じる可能性が高いですし、関係者が自分に有利な結論を導くため、遺言書を偽造・変造することが起きることもないとは言えません。

そこで、民法では、遺言できる事項を限定するとともに、「遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない」として、遺言の方式を厳格に定めています。

遺言には複数の種類があり、それぞれについて遺言の方式が定められています。遺言の方式については、それぞれの遺言の種類を紹介するときに説明します。

遺言は単独で行うもの

遺言は、遺言者の意思が示されたものであることは間違いありません。

しかし、遺言は、遺言者が単独で書面に定めるものです。だれかとの合意に基づいて定めるものではなく、相手のいない一方的なものです。これを単独行為といいます。

遺言は死後にはじめて効力が生じる

遺言は、遺言者が亡くなった時に効力を生じます。遺言を書いた時からではありません。したがって、生きている間は、いつでも何度でも自由に遺言を書き直すことができます。

書き直された後の遺言と、書き直される前の遺言とで矛盾が生じる部分は、書き直した後の遺言が有効となります。書き直した後の遺言と矛盾が生じない部分は、書き直される前の遺言は有効となります。

遺言できる人

遺言は満15歳以上が遺言することができます。また、成年被後見人については、医師2人の立ち合いなど、一定の条件のもとに遺言することができます。

遺言は複数人ではできない

遺言は亡くなるまではいつでも撤回することのできるものですから、同じ書面で複数人が遺言をした場合、無効となります。夫婦で共同して遺言を作成するということがあるかもしれませんが、民法で定められた遺言事項については無効となります。

遺言で定められること

遺言には、何を書いても自由です。

ただし、民法により、法的効力があると認められるのは、14項目に限られています。このうち、遺言でしかできないことは7項目、遺言でも生前でもできることが7項目です。

【遺言でしかできないこと】
①未成年後見人または未成年後見監督人の指定
②相続分の指定または指定の委託
③遺産分割方法の指定または指定の委託と遺産分割の禁止
④遺産分割における相続人相互間の担保責任の指定
⑤遺贈
⑥遺言執行者の指定または指定の委託
⑦遺贈減殺方法の指定
【生前でもできること】
⑧子の認知
⑨相続人の廃除または廃除の取消し
⑩一般財団法人の設立
⑪特別受益者の相続分に関する定め
⑫祖先の祭祀を主宰するべき者の指定
⑬信託の設定
⑭保険金受取人の変更

遺言の種類

遺言の方式には、3つの普通方式、4つの特別方式があります。詳しくは別途説明します。

【普通方式】
①自筆証書遺言
②公正証書遺言
③秘密証書遺言
【特別方式】
④一般危急時遺言
⑤難船危急時遺言
⑥一般隔絶地遺言
⑦船舶隔絶地遺言