条件付遺贈と期限付遺贈はいつ効力が生じるのか|負担付遺贈との違いは

先日、孫の一人が結婚して、お祝いとして私が結婚資金を出しました。他の孫が結婚した時にも結婚資金を援助したいと思います。私が死んだ後も、孫が結婚した時に私の財産から結婚資金を援助できるようにしたいのですが、遺言にはどのように書けばよいですか。

冒頭のケースの場合、遺贈に「孫が結婚した時」との停止条件を付することが考えられます。
今回は、条件付遺贈と期限付遺贈について説明します。

遺贈全般について知りたい方は次の記事を参考にしてください。

1 条件付遺贈・期限付遺贈とは

1-1 条件付遺贈

停止条件

遺言は、遺言者の死亡時に効力を生ずるのが原則です(民法985条1項)。

しかし、遺言者としては、死亡時にすぐに遺言の効力を発生させたくない事情もあるでしょう。その場合には、遺言に停止条件を付することができます(民法985条2項)。

停止条件とは、法律行為の効力の発生を将来の実現が不確実な事実にかからせる旨の特約をいいます。停止条件が成就すると、法律行為の効力が発生します。


遺贈は遺言の内容ですから、遺贈にも停止条件を付することができます。冒頭の設例では、「孫が結婚した時」が停止条件となります。

停止条件が付されると条件が成就した時に遺贈の効力が生じます。

同様に、

孫が大学に入学した時
孫が会社に就職した時

なども停止条件になるでしょう。

受遺者は、遺贈が弁済期に至らない間は、遺贈義務者に対して、相当の担保を請求することができます(民法991条)。
例えば、相続人以外の第三者であるXについて、遺言者Aの遺言に、

Xが結婚したら、Xに100万円を譲る。

との遺言があった場合、Xは、Aの相続人に対し担保の請求ができるということです。

解除条件

反対に、ある事実が発生したら、遺贈の効力を消滅させたい場合もあるでしょう。
この場合には、遺贈に解除条件を付することができます。

解除条件とは、法律行為の効力の消滅を将来の実現が不確実な事実にかからせる旨の特約を解除条件といいます。解除条件が成就すると、法律行為の効力が消滅します。

解除条件が成就すると遺贈の効力が消滅します。

ただし、解除条件は、遺言者の死亡により、既に生じていた遺贈の効力を失わせるものですから、法律関係の安定の観点からも慎重な判断が求められるでしょう。

1-2 期限付遺贈

遺贈には期限を付することもできます。

期限とは、法律行為の効力の発生または消滅を将来の実現が確実な事実にかからせる旨の特約です。法律行為の効力が発生する場合を始期、消滅する場合と終期といいます。

始期が到来すると遺贈の効力が生じ、終期が到来すると遺贈の効力が消滅します。
条件との違いは、事実の発生が確実か不確実かです。

条件と期限の判別が難しい場合はしばしばあります。例えば「出世払い」は条件か期限かで裁判になったことがあります。判例では「不確定期限」であるとされています。

遺言に期限を付する場合としては次のようなものが考えられるでしょう。

令和●年●月●日
孫が20歳になった時

受遺者は、遺贈が弁済期に至らない間は、遺贈義務者に対して、相当の担保を請求することができます(民法991条)。
例えば、相続人以外の第三者であるXについて、遺言者Aの遺言に、

令和●年●月●日、Xに甲土地を譲る。

との遺言があった場合、Xは、Aの相続人に対し担保の請求ができるということです。

2 負担付遺贈との違い

上記の停止条件付遺贈も始期付遺贈も、条件成就、始期到来がなければ遺贈の効力は生じません。

これに対し、負担付遺贈は、遺贈に法律上の義務(負担)を付するものですから、遺言者の死亡時に効力が生じます。これが大きな違いです。

負担付遺贈について詳しく知りたい方は次の記事を参考にしてください。

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弁護士 佐々木康友
さいたま未来法律事務所 代表弁護士|埼玉弁護士会所属|〒330-0063 埼玉県さいたま市浦和区高砂3-10-4 埼玉建設会館2階|TEL 048-829-9512|FAX 048-829-9513