公正証書遺言の効力にはどんなものがある?|無効にならないために注意すべきことを解説します

私は今年で70歳になります。何かあった場合に備えて遺言書を作ろうと思っています。遺言書を作って私の死後に家族が揉めることは絶対に避けたいです。知人からは公正証書遺言を作るように勧められています。公正証書遺言は、費用や手間が掛かると聞きましたが、どんな効力があるのでしょうか。

今回は公正証書遺言の効力について説明します。

遺言がなかったため、被相続人の死後、家族間でし烈な遺産の取合いになるケースが非常に多いです。相続をきっかけに家族の絆が壊れてしないためにも、遺言を残すことは強くお勧めします。

一方、遺言の内容があいまいだったり、そもそも遺言の効力に疑いが持たれたりして、遺言があっても家族間で争いになることはあります。

遺言は確実な方法で作成しておくべきです。

遺言の作成方式は、自筆証書遺言、公正証書遺言などいくつかありますが、いずれの遺言であっても効力が発生すれば同じです。それぞれの方式要件を遵守して作成されれば、どちらの作成方式の遺言であっても効力を発生します。

ただし、公正証書遺言は、遺言者が自分で作成する自筆証書遺言とは異なり、法律の専門家である公証人が作成しますので、公正証書遺言が方式違反で遺言の効力が否定(無効)される危険性は低いという大きなメリットがあります。 その他にも、公証人によって作成されることの帰結としての公正証書遺言のメリットは多いです。

自筆証書遺言の作成件数は、大体、年間20,000件程度と考えられます。これに対し、令和元年の公正証書遺言の作成件数は113,137件(日本公証人連合会発表)とずっと多いです。

遺言の効力が発生するのは、遺言者が亡くなった時です。遺言者としては、自分の死後、遺言が無事に効力を発生してくれるかどうか心配です。

自筆証書遺言と比べ、公正証書遺言の方がずっと多く作成されているのは、費用や手間をかけても、法律専門家である公証人に遺言の作成を依頼した方が安心だからでしょう。

遺言を作成するのならば、最も確実な方法である公正証書遺言をお勧めします。

一方、公正証書遺言であれば絶対に効力が否定されることはないのでしょうか。

答えは否です。公正証書遺言であっても効力が否定されることはあります。

公正証書遺言の効力が否定されたら元も子もありません。公正証書遺言であるからといって過信は禁物です。

実際に裁判で効力が否定された事例も多数ありますから、公証人に丸投げにするのではなく、遺言者もどういった場合に効力が否定される危険性があるのかを理解しておく必要があります。

そこで、今回は、公正証書遺言の効力を否定されないための注意点を含め、公正証書遺言の効力全般について説明します。

この記事で分かること
  • 公正証書遺言とは何か
  • 公正証書遺言と自筆証書遺言の違い
  • 公正証書遺言に定められること
  • 他の方式にはない公正証書遺言のメリット
  • 公正証書遺言の方式要件
  • 公正証書遺言の効力が否定される場合

なお、遺言全般については、次の記事を参考にして下さい。

また、自筆証書遺言については、こちらの記事を参考にして下さい。

もくじ

1 公正証書遺言とは公証人が作成する遺言

これから公正証書遺言の効力について説明していきますが、その前に、公正証書遺言とは何かについて簡単に説明しておきましょう。

以下では、公正証書遺言についてイメージを持ってもらうために、自筆証書遺言と比較しながら説明を進めていきます。

公正証書遺言とは、遺言者が遺言の内容を公証人に伝え(これを口授といいます。)、公証人がこれを筆記して公正証書による遺言書を作成するものです。

公正証書により作成された遺言書のことを遺言公正証書といいます。

自筆証書遺言との違いは、 法律の専門家である公証人が公正証書として作成するということです。これが、公正証書遺言の最大の特色でしょう。

公正証書遺言自筆証書遺言
法律の専門家である公証人が公正証書として作成する。法律の専門家であるかに関わらず遺言者が自筆で作成する。

公証人
公証人は、実務経験豊かな法律実務家の中から、法務大臣が公証人法に基づいて任命する公務員です。公証役場は、公証人が働いているところです。公証人に任命される法律実務家は、裁判官、検事、弁護士、法務局長などの経験者です。

公正証
公正証書とは、私人(個人又は会社その他の法人)からの嘱託により、公証人がその権限に基づいて作成する文書のことです。

2 効力が発生するのは法律に定められた遺言事項だけ

遺言には何でも定められるわけではありません。公正証書遺言に限らず、遺言に定めるられること(遺言事項)は法律に限定されています。

公正証書遺言にはどのようなことを定められるのでしょうか。遺言者の望むものならば何でも定められるのでしょうか。

公正証書遺言の内容は、相続人だけでなく、第三者の利害にも影響を与えることがあります。その内容によっては、かなり広範囲の人に影響を与える可能性があります。

それなのに、何でも自由に遺言に定めることができて、遺言者の死亡により、公正証書遺言どおりの効力が発生することとなるとどうなるでしょうか。

おそらく、公正証書遺言の意味が曖昧でどのような効果が発生するのか分からなかったり、本人の了解もないまま第三者の利益が害されたりして、利害関係人の間で紛争が発生し、いつまでたっても相続が完了しないということになりかねません。

公正証書遺言には、遺言者の意思を死後に実現するという大切な役割があります。これが何よりも大切です。

遺言者の死後、本人に意思を確認することはできないのですから、公正証書遺言の内容は、関係者に疑義の生じないように明確にしておく必要があります。

そのため、遺言事項は、下記①~⑭の法律に定められたものに限定されます。

遺言事項以外のことを公正証書遺言に記載すること自体はできますが、効力が発生することはないことに注意してください。

  1. 子の認知(民法781条2項)
  2. 未成年後見人・未成年後見監督人の指定(民法839条・848条)
  3. 相続人の廃除・廃除の取消し(民法893条・894条)
  4. 祖先の祭祀を主宰すべき者の指定(民法897条1項)
  5. 相続分の指定・指定委託(民法902条)
  6. 特別受益の持戻しの免除(民法903条)
  7. 遺産分割方法の指定・指定委託・遺産分割の禁止(民法908条)
  8. 相続人相互間の担保責任の分担(民法914条)
  9. 遺贈(民法964条)
  10. 遺言執行者の指定・指定委託(民法1006条)
  11. 一般財団法人の設立(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律152条2項)
  12. 一般財団法人への財産の拠出(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律164条2項)
  13. 信託の設定(信託法2条~4条)
  14. 保険金受取人の変更(保険法44条・73条)

3 公正証書遺言の効力が発生するのは遺言者が死亡した時

さて、方式要件に従って公正証書遺言を作成したとして、公正証書遺言の効力はいつ発生するのでしょうか。公正証書遺言は、作成してもすぐに効力が発生するのではありません。

3-1 公正証書遺言の効力が発生するのは遺言者が死亡した時

遺言は、遺言者が死亡した時から効力を発生します(民法985条1項)。

民法985条(遺言の効力の発生時期)
1 遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。

つまり、遺言者が死亡するまでは、公正証書遺言の効力は発生しませんから、相続人その他の利害関係人の権利義務関係には何も影響を与えません。

したがって、例えば、公正証書遺言では、Aに不動産を遺贈することが定められていたとしても、遺言者の死後でなければ、Aは不動産の所有権を主張できないことになります。

また、遺言者は、自分の作成した遺言をいつでも自由に撤回することができます(民法1022条)。遺言者の死亡時まで、遺言は効力が発生しないのですから、撤回して作り直すことができるのは当然ということになります。

民法1022条(遺言の撤回)
遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。

3-2 公正証書遺言に停止条件が付いている場合

上に述べたとおり、遺言者の死亡時に公正証書遺言の効力が発生するのが原則です。

しかし、例外があります。

まず、公正証書遺言に停止条件が付いている場合です。

停止条件とは、一定の事項が発生する(条件の成就)と、法律行為の効力が発生するものです。

例えば、次のような条項が、公正証書遺言の内容となっている場合です。

Aが婚姻したら、甲不動産を売却して代金をAに引き渡すこと 。

この場合、「Aの婚姻」という停止条件が成就したら、「甲不動産を売却して代金をAに引き渡す」という法律行為の効力が発生することになります。

停止条件が成就すると法律行為の効力が生じます。

なお、公正証書遺言の作成後、遺言者の死亡前に、停止条件が成就してしまう場合があります。上のケースだと、遺言者の死亡の前に、Aが婚姻する場合です。

この場合、公正証書遺言は、元々無条件であったとされ、遺言者の死亡時に、公正証書遺言どおりの法律行為の効果が発生します。

一方、遺言者の死亡時に停止条件が成就していない場合、遺言者の死後、停止条件が成就しない限り、公正証書遺言どおりの法律行為の効果は発生しません。

遺言者の生前に条件が成就元々無条件とされ、遺言通りに効力が発生する(民法131条1項)
遺言者の死後に条件が成就条件が成就した時に遺言通りに効力が発生する(民法985条2項)

民法985条(遺言の効力の発生時期)
2 遺言に停止条件を付した場合において、その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、遺言は、条件が成就した時からその効力を生ずる。

民法131条(既成条件)
1 条件が法律行為の時に既に成就していた場合において、その条件が停止条件であるときはその法律行為は無条件とし、その条件が解除条件であるときはその法律行為は無効とする。
2 条件が成就しないことが法律行為の時に既に確定していた場合において、その条件が停止条件であるときはその法律行為は無効とし、その条件が解除条件であるときはその法律行為は無条件とする。

3-3 公正証書遺言の内容を実現するための手続が必要な場合

さらに例外として、公正証書遺言の内容によっては、遺言者の死亡時に直ちに効力が発生せず、遺言者の死後、一定の手続を経て、はじめて効力が発生することがあります。

例えば、相続人の廃除・廃除の取消しを公正証書遺言に定めている場合です。

この場合、遺言者の死後、遺言執行者が、遅滞なく相続人の廃除・排除の取消しを家庭裁判所に請求し、審判が確定することによって、はじめて遺言者の死亡時に遡って効力が生じます(民法893条・894条)。

民法893条(遺言による推定相続人の廃除)
被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示したときは、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければならない。この場合において、その推定相続人の廃除は、被相続人の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。

民法894条(推定相続人の廃除の取消し)
1 被相続人は、いつでも、推定相続人の廃除の取消しを家庭裁判所に請求することができる。
2 前条の規定は、推定相続人の廃除の取消しについて準用する。

4 公正証書遺言のメリット

これまで述べたとおり、法律専門家である公証人が作成することにより、遺言の効力が否定 (無効) される危険性が低くなることが公正証書遺言の最大のメリットですが、それ以外にも公正証書遺言ならではのメリットは多いです。

公正証書遺言のメリットを整理すると次のようになるでしょう。

4-1 遺言の効力を否定 (無効) されたり、相続人間で争いとなる危険性を小さい

繰り返しになりますが、これが公正証書遺言を作成する最大のメリットです。

公正証書遺言では、公証人が遺言を作成します。だれにどの遺産を承継させるかといった遺言の内容は遺言者が考えますが、それを遺言書にまとめるのは公証人です。

法律専門家として、方式に不備がなく不明な点のない遺言を作成してもらえます。

そのため、方式不備により遺言書の効力が否定される危険性は小さくなります。また、遺言の内容があいまいで、遺言者の死後に相続人間で争いとなる危険性も小さくなるでしょう。

ただし、後述しますが、公正証書遺言の効力が否定されないとは限らないことは注意すべきです。とはいえ、自筆証書遺言に比べれば、効力が否定される危険性は非常に低いと言えるでしょう。

公正証書遺言自筆証書遺言
法律の専門家である公証人が公正証書として作成するため、方式不備により遺言書の効力が否定されたり、遺言の内容があいまいで遺言者の死後に相続人間で争いとなる危険性は小さい。 法律の専門家であるかに関わらず遺言者が自筆で作成するため、 方式不備により遺言書の効力が否定されたり、遺言の内容があいまいで、遺言者の死後に相続人間で争いとなる危険性がある。

4-2 検認手続が不要

自筆証書遺言では、法務局に遺言書を保管した場合を除き、家庭裁判所での検認手続が必要です。

検認とは、遺言書の改ざんを防止するため、遺言書の状態を確認する手続です。

これに対し、公正証書遺言では、家庭裁判所による遺言の検認手続が不要です。

公正証書遺言は、証人2名以上の立会いのもと公証人により作成されますから、信頼できるものと考えられているのです。公正証書遺言だからこそ検認手続が不要とされているのです。

遺言書の検認手続は、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で行う必要がありますから、遺言書の発見者や所持人が離れた地域に住んでいる場合、負担が大きいです。

また、遺言書の検認手続は、遺言書検認の申立てという裁判所の正式な手続であるため、どうしても時間がかかります。

これが不要となるメリットは意外と大きいのです。

公正証書遺言自筆証書遺言
検認手続は不要。検認手続が必要。

4-3 遺言書が公証役場に保管されるので改ざんの危険性が小さい

公正証書遺言は、原本が公証役場に保管されます。

自筆証書遺言は遺言者が自分で保管するのが原則です。法務局に保管することもできますが、遺言者の申請が必要です。

これに対し、公正証書遺言は、必ず原本が公証役場に保管されます。これにより、遺言書の破棄・改ざんができなくなります。

公正証書遺言自筆証書遺言
原本が公証役場に保管される。自分で保管する必要がある。ただし、法務局に保管を申請することができる。
公正証書遺言は遺言者が亡くなるまでずっと保管してくれるのですか。

公正証書の原本保管期間は原則20年間とされていますが(公証人法施行規則27条1項1号)、そうすると、60歳で公正証書遺言を作成すると、80歳までしか原本が保管されないことになります。
遺言は、遺言者の死亡時に初めて効力を生じますから、遺言者の生前に遺言書が破棄されては困ります。
そこで、公証人法施行規則には、保存期間の満了した後でも特別の事由がある場合にはその期間保存する規定があります(公証人法施行規則27条3項)。
公証役場によりますが、この規定に基づいて、概ね120歳になるまでは遺言書が保管されているのが実務上の運用のようです。

2020年(令和2年)7月10日から、自筆証書遺言を法務局に保管できるサービスが開始されました。こちらについては、次の記事で詳しく説明していますから、参考にして下さい。

4-4 遺言の存在の調査が可能

自筆証書遺言は法務局に保管しない限り、自分で保管することになります。遺言者の死後、相続人に遺言書を見つけてもらえず、遺言がないものとして、法定相続分に基づいて遺産分割が行われてしまうおそれもあります。

公正証書遺言の場合、昭和64年1月1日以降に作成されたものについては、公証役場の遺言検索システムに登録されています。

法定相続人をはじめとした利害関係人であれば、全国どこの公証役場でも被相続人の遺言の有無を調べることができます。

被相続人の生前は、本人しか遺言書を検索することはできません。

公正証書遺言自筆証書遺言
公証役場の遺言検索システムに登録され、検索することが可能。自分で保管する必要がある。ただし、法務局に保管を申請することができる。

4-5 耳が不自由な方などにも配慮されている

公正証書遺言には、遺言者の口授、公証人の読み聞かせといった手続があります。

そうすると、耳の聞こえない方、何らかの理由で会話のできない方は、公正証書遺言を作成できないのかというと、そのようなことはありません。

耳の聞こえない方、何らかの理由で会話のできない方は、手話などの通訳人の通訳や筆談でやり取りができます。

遺言者が何らかの理由で遺言書に署名することができない場合、公証人がその旨を遺言書に付記して、署名に代えることもできます(民法969条の2)。

公正証書遺言自筆証書遺言
通訳や筆談で作成できる。遺言者が遺言書に署名できない場合、公証人がその旨を遺言書に付記して、署名に代えることができる。 必ず自書する必要がある。
公正証書遺言のデメリット?

遺言書の作成に手間や費用がかかる?

公正証書遺言の作成にあたり公証人と打ち合わせが必要です。公証役場まで行くことができない場合、公証人が自宅まで出張してくれるサービスもありますが、別途旅費、日当などかかります。動ける場合は基本的には公証役場に出向くことになります。

また、公正証書遺言では、証人2人以上の立会いが必要です。有料で公証人に証人を手配してもらうこともできますが、まずは自分で証人を探す必要があります。

さらに公証人に手数料を支払う必要があります。ただし、その手数料は、手数料令に定められていますから安心です。公正証書遺言の手数料は遺産の金額に応じて決まります。

遺言書の存在と内容が外部に知られるおそれがある ?

公正証書遺言は、公証人や証人が関与しますから、遺言書の存在と内容がこれらの人から外部に知られるおそれがゼロではありません。

しかし、公証人にも(公証人法4条)、公証役場の職員である書記にも(公証人法施行規則6条)、守秘義務が課せられていますから、遺言書の存在と内容が外部に漏れることは通常は考えられません。

また、証人については法律上の規定はないのですが、遺言書の存在と内容について第三者に口外しないことを表明したときはもちろん、そうでなくても、立場上、当然に守秘義務を負うものと考えられます。やはり、遺言書の存在と内容が外部に漏れることは通常は考えられないといえるでしょう。

5 公正証書遺言であっても効力が否定 (無効) されることはある

公正証書遺言は、法律の専門家である公証人が作成しますので、方式違反で公正証書遺言の効力が否定される危険性は低いです。

それでは、公正証書遺言であれば絶対に効力が否定されることはないのでしょうか。

答えは否です。公正証書遺言であっても効力が否定されることはあります。

実際に裁判で効力が否定された事例も多数あります。公証人に丸投げにするのではなく、遺言者もどういった場合に効力が否定される危険性があるのかを理解しておく必要があります。

そこで、実際に公正証書遺言の効力が否定されたケースを挙げながら、 どういった場合に効力が否定される危険性があるのかを説明します。

公正証書遺言の効力が否定される危険があるのは次のどちらかの場合です。

  1. 遺言者の遺言能力が否定された場合
  2. 公正証書遺言の方式要件違反があった場合

それぞれについて、以下に説明します。

6 遺言能力がないとして公正証書遺言の効力が否定 (無効) される場合

公正証書遺言は、法律の専門家である公証人が作成するため、方式要件違反で効力が否定されることは稀ですが、それ以前の問題として、公正証書遺言作成時、遺言者に遺言能力がなかったとして効力が否定されることがあります。

むしろ、近年、公正証書遺言の効力が否定されるのは、方式要件の違反よりも、この遺言能力の欠如が理由であることが多いと言えますので注意が必要です。

6-1 遺言能力とは

ここでいう遺言能力とは、遺言という法律行為をする意思能力を有していること(民法3条の2)とされます。

民法3条の2(意思能力)
法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。

そもそも法律行為をする意思能力とは何かが大きな問題となりますが、ここでは、権利を変動させる行為【法律行為】をすることのできる知的能力・精神状態【意思能力】と考えておきましょう。

例えば、何億円もの不動産を購入するのも法律行為ですし、コンビニでジュースを購入するのも法律行為です。

法律行為の内容は、複雑なものから簡単なものまで様々ですから、一律に「この人には意思能力がある」と決めることはできません。

そこで、一般には、個々の法律行為の内容によって、意思能力があるかどうかを判断すべきと考えられています。

遺言についていえば、意思能力の有無は、遺言者が、遺言の内容を理解し、遺言をするとの決定をすることのできる知的能力・精神状態にあったかどうかで判断するべきと考えられます。

  • 自分の遺産には何があるか
  • 遺産のうち、どれをだれにあげるのか

については、理解して、決定することのできる能力が求められるということでしょう。

公正証書遺言作成時、この能力が遺言者になかったとして効力を否定 (無効) される場合が多いのです。典型的には、遺言者が認知症にり患していた場合です。

6-2 公正証書遺言の効力が否定 (無効) されるケース

遺言能力の有無については、遺言者の知的能力・精神状態についての医学的な判断を前提として、その他の要素も総合的に考慮した上で、最終的に遺言能力の有無が判断されています。

裁判における遺言能力の有無の判断基準は明確ではありません。事案ごとに様々な事情を考慮して遺言能力の有無が判断されていますが、主として次のことは考慮されているように思われます。

  • 遺言者の知的能力・精神状態についての医学的な判断
  • 遺言時及びその前後の言動
  • 遺言内容の合理性・遺言を作成する動機
  • 遺言内容の難易
遺言能力の有無は、主に4つの要素から判断されています。

遺言者の知的能力・精神状態についての医学的な判断

遺言能力の有無の判断において、最も重視されるのは遺言者の知的能力・精神状態についての医学的な判断です。認知症・統合失調症などの精神疾患が重度であるほど、公正証書遺言の効力が否定 (無効) される方向に傾くといえます。

知的能力・精神状態の悪化が重度である場合、遺言能力がなかったと推認され、一時的に遺言内容が理解できる程度に状態が回復していいた事情があるかどうかが検討されます。

反対に、知的能力・精神状態の悪化が軽度である場合、公正証書遺言の作成時、遺言内容を理解できない事情があったかどうかが検討されます。

遺言時及びその前後の言動

公正証書遺言の作成時は、遺言者が公証人に口授をする際、公証人が遺言者の遺言能力について何らかの確認をしていたかどうかが重要となります。

また、遺言前後の言動についても、それだけで遺言者の遺言能力の有無を決定づける要因とはなるものではありませんが、遺言者の知的能力・精神状態についての医学的な判断を補強し、または疑念を持たせる事情にはなります。

遺言内容の合理性・遺言を作成する動機

一般には、遺言内容が不合理であったり、定められた内容の遺言を作成する動機がない場合には、第三者による関与・影響が疑われ、遺言能力を否定 (無効) する方向に傾くといえます。

しかし、遺言者の知的能力・精神状態の悪化が重度である場合は、合理的な内容でも遺言能力があるとはいえないし、反対に、知的能力・精神状態の悪化が軽度である場合は、不合理な内容であるからといって遺言能力がないとは限りません。

遺言内容の難易

遺言内容が複雑・難解であるほど高度な理解力が求められます。遺言内容の難易度によって、求められる知的能力・精神状態の程度は異なります。

そのため、公正証書遺言の内容が難解なものであったか、簡単なものであったかは、遺言者の遺言能力の有無の判断に大きく影響するといえます。

7 方式要件違反で公正証書遺言の効力が否定 (無効) される場合

公正証書遺言の効力が否定される2つ目の場合は、方式要件に違反している場合です。

公正証書遺言は、法律の専門家である公証人によって作成されますから、方式要件違反で効力が否定されることは稀といえますが、公証人も人間ですからミスがないとは限りません。

方式要件違反で公正証書遺言の効力が否定される場合 公正証書遺言の方式要件は、民法969条に列記されています。これらの方式要件のうち、ひとつでも疑義が生じれば、公正証書遺言の効力が否定されるおそれがあります。

次の5つの要件となります。

  1. 証人二人以上の立会いがあること
  2. 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること
  3. 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること
  4. 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと
  5. 公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと

これらの要件をしっかりと理解し、確実に手続を踏んでいく必要があります。以下、各要件について、効力が否定される場合を例に挙げながら一つずつ説明していきましょう。

民法969条(公正証書遺言)
公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
① 証人二人以上の立会いがあること。
② 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
③ 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。
④ 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
⑤ 公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。

7-1 証人2人以上の立会いがあること(1号)

証人の立会いの目的

まず、証人2人以上の立会いが求められます。公正証書遺言の作成において、証人の立会いが求められるのはなぜでしょうか。

最高裁判所の判例では次のとおり説明されています(最高裁昭和55年12月4日)。

公正証書による遺言について証人の立会を必要とすると定められている所以のものは、右証人をして遺言者に人違いがないこと及び遺言者が正常な精神状態のもとで自己の意思に基づき遺言の趣旨を公証人に口授するものであることを確認させるほか、公証人が民法969条3号に掲げられている方式を履践するため筆記した遺言者の口述を読み聞かせるのを聞いて筆記の正確なことの確認をさせたうえこれを承認させることによって遺言者の真意を確保し、遺言をめぐる後日の紛争を未然に防止しようとすることにある

つまり、証人の立会いが求められるは、証人が、

  • 遺言者が人違いでないこと
  • 遺言者が正常な精神状態にあること
  • 遺言者が自分の意思に基づいて、公証人に遺言の内容を口授していること
  • 公証人が、遺言者の口授を正確に筆記していること

を確認して、遺言書が遺言者の真意に基づいて作成されることを確保することが目的とされています。

証人欠格者

上記の証人の立会いの目的から、定型的に不適当と考えられる人は、証人になることができません(民法974条)。

対象者理由
未成年者(1号)判断能力に疑義があるため
推定相続人及び受遺者並びに
これらの配偶者及び直系血族(2号)
遺言者の遺言内容に利害関係があるため
※推定相続人:遺言者の死後、法定相続人となる人
※受遺者:遺言において遺贈することとしている相手方
公証人の配偶者、四親等内の親族、
書記及び使用人(3号)
公証人の職務の公正さを確保するため

民法974条(証人及び立会人の欠格事由)
次に掲げる者は、遺言の証人又は立会人となることができない。
① 未成年者 
② 推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
③ 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人

誤って上記の人が証人となった場合、明確な方式要件違反として、公正証書遺言の効力が否定 (無効) されます(下記のQ&A参照)。

上記の欠格事由に該当しなければ、証人は誰でもよいわけではありません上記の欠格事由には形式的には該当しなくても、そもそも証人としての役割を果たす能力のない人は証人になれません。

例えば、証人は遺言書に署名をしますから、文字を知らない人が証人になれないのは明らかでしょう。

この場合も公正証書遺言の効力は否定されます。

証人不適格者が立ち会った遺言書は必ず無効となりますか。

証人が3人以上いて、うち2人が適格者であれば、他の人が不適格者であっても、公正証書遺言は有効とされます。
ただし、その不適格者によって、遺言の内容が左右されたり、遺言者が自分の真意に基づいて遺言することを妨げられたなどの事情がある場合は無効とされる危険性が大きいので注意が必要です。
いずれにせよ、不適格者が同席していること自体が紛争の原因となりますから、厳に避けるべきでしょう。

証人の立ち会う時期は

公正証書遺言は、遺言者と公証人のやり取りを経て作成されるため、一回の立会いでは完成せず、何日か立ち会うことが必要なる場合もあります。証人は、その間、ずっと立ち会わないといけないのでしょうか。

この点について、法律の規定が明確にあるわけではありませんが、上記の公証人の立会いの目的から考えると、証人は、公正証書遺言の作成中は、最初から最後までずっと立ち会っていなければならないとされています。

証人の立会いを欠くとして、公正証書遺言の効力が否定 (無効) されたケースには次のようなものがあります。

事例
  • 証人のうち1人は、遺言者の口授の途中から立会いに参加し、他の証人は、公証人の筆記が終わった後に参加した。
  • 証人が公証人から約5メートル離れた場所で立ち会っていた。
  • 証人が遺言者と公証人の会話を聞いておらず、筆記の読み聞かせも聞いていなかった。

このように、証人は公正証書遺言の作成中は終始立ち会うことが必要とされるのが原則なのですが、このことを余りに杓子定規に捉えすぎて、少し席を外しただけでも問答無用で無効としてしまうと、公正証書遺言の作成に支障が出てしまいます。

そこで、方式要件の違反があったとしても、上記の証人の立会いの目的が達成されていれば、公正証書遺言の効力は否定されないこともあります。

例えば、次のようなケースがあります。

事例
  • 事前に公正証書遺言の原案が作成されていた事案で、証人は、公証人と遺言者が、原案の内容の確認と読み聞かせを行った手続には立ち会ったものの、それ以前の原案の作成の段階では立ち会わなかった。
  • 遺言者の口授、公証人の読み聞かせ、遺言者の署名までは、2人の証人が立ち会っていたが、その後の遺言者の押印の時には1人しか証人が立ち会わず、もう1人の証人は、押印後に押印されたことを確認をした。

しかし、上の事例に近い状況であっても、様々な事情を考慮して公正証書遺言の効力が否定されることもあり得ます。そのため、証人2人の立会いは、公正証書遺言の作成中確実に行われるように注意が必要でしょう。

7-2 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること(2号)

口授とは

口授とは、遺言者が公証人に、遺言の内容を口頭で伝えることです。

  • 遺言者が、自分の言葉で、直接公証人に語ること
  • 遺産を誰に対してどのように処分するのかを語ること

が必要とされます。

口授が求められる目的

口授が求められるのは、遺言者が公証人に自由な意思に基づいて遺言の内容を語れば、遺言者の真意は確保されると考えられるからです。

口授はどの程度まで詳しく行うべきか

口授はどの程度まで詳しく行う必要があるのでしょうか。

多数の遺産がある場合、一言一句漏らすことなく、公証人に遺言の内容を口頭で伝えることが求められるといつまでたっても口授が終わらないことになります。

そこで、口授の程度は、遺言の内容が特定できて、遺言者の真意と合致していることが確認できる程度あればよいとされます。

抽象的な基準で何とも分かりづらいのですが、例えば、

×:遺言者が作成したメモを公証人に渡して、全く口頭で説明しない
〇:メモを補充的に用いながら口頭で説明する

といった感じです。

口授と認められなかった場合

口授と認められなかった場合は少なくありません。

口授と認められるかどうかの境界線は明確ではありません。裁判では、口授の目的である遺言者の真意を確保することができているかどうかを個別具体的に検討して、口授と認められるかどうかが判断されていると思われます。

口授と認められなかったケースには、次のようなものがあります。

口授と認められなければ、当然、公正証書遺言の効力は否定 (無効) されます。

事例
  • 遺言者からあらかじめ用意したメモを公証人が読み上げ、これに対して遺言者が頷いただけであった。
  • 公証人の質問に対して、ただ頷いただけであった。
  • 公証人の質問に対して、「はー」や「はい」など単に返事をしただけであった。

7-3 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること(3号)

筆記・読み聞かせ・閲覧は、公証人が自ら行うべきか

筆記・読み聞かせ・閲覧は、公証人が自ら行うことが望ましいですが、公証人の同席のもと、補助者である書記が行うことも許されます。

筆記は、遺言者の面前で行う必要があるか

筆記自体は、遺言者の面前で行う必要はなく、別室で行っても構いません。

口授と筆記の順序が入れ替わる場合

実務上問題となり得るのが、口授と筆記の順序が入れ替わる場合です。

民法969条の規定では、

  1. 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授する(2号)
  2. 公証人が遺言者の口述の内容に基づいて、公正証書を筆記する(3号)

の順序で行うこととされています。つまり、あくまでも口授が先で、その後に筆記を行うこととされています。

しかし、実務上、遺言の内容が単純である場合はともかく、遺言者の口授の後、公証人が遺言書をすぐに筆記できるものではありません。専門家の公証人といえども、一定の検討時間は必要となります。

そこで、通常は、手続の効率化のため、次の流れで公正証書遺言は作成されています。

  1. 公証人が、遺言書作成日前に、遺言者等から遺言内容を聴き取ったり、文案・メモを受け取るなどして、事前に遺言書の草稿を作成しておく
  2. 遺言書作成日、証人2人以上の立会いのもと、公証人が、あらためて遺言者より口授を受ける。
  3. 公証人が、口述の内容と事前に作成しておいた遺言書の草稿を照合して、必要な訂正をするなどして、公正証書遺言を完成させる

裁判では、このように遺言書の作成手順が前後しても、遺言者の真意を確保し、正確を期するという民法969条の趣旨に反するものではないとして、有効とされています。

口授と筆記の順序が入れ替わる場合、事前に遺言書の草案はできているので、口授とはいっても、遺言者から遺言内容を一から聴き直すのではなく、公証人が、遺言者に遺言書の草案を読み聞かせ、誤りがないかどうかを問いかける程度で済まされることも多いです。

それでも、実務上、特に問題がないことがほとんどです。

ところが、遺言者の死後、遺言書の内容に納得できない相続人により、口授がなかったとして異議が唱えられることがあります。

裁判では、口授の目的である遺言者の真意を確保することができているかどうかを検討して、口授と認められるかどうかが判断されています。

遺言者の真意が確保できているかどうかは明確な基準などなく、公正証書遺言が作成された時の状況を個別具体的に検討して判断されます。

似たような状況でも、裁判官によって、有効・無効の判断が分かれるということもあります。ですので、できるだけ疑義が生じないように、時間は掛かっても条文の順序に沿った丁寧な手続を心掛けることが重要だと思います。

7-4 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと(4号)

署名は、遺言者及び証人が自ら行う必要があります。

必ずしも戸籍上の氏名である必要はないのですが、実務上、印鑑登録証明書によって本人確認を行っているので、戸籍上の氏名により署名することが一般的です。

遺言者が署名できない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができます(4号但書)。

押印についても自ら行うのが望ましいですが、本人の意思に基づくものであれば、公証人の面前で本人から依頼された人が押印することもできます。

7-5 公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと(5号)

最終的に公証人が署名・押印することによって、公正証書遺言が完成されます。

8 補足説明(公証人に公正証書遺言の作成を依頼する場合)

公証人に公正証書遺言の作成する場合のために、若干の補足説明をしておきましょう。詳しくは、最寄りの公証役場に確認してください。丁寧に説明してもらえると思います。

8-1 用意したほうがよい書類

以下に公証人から提出を求められることの多い書類を挙げておきます。あらかじめ準備しておけば、手続きもスムーズに進むと思います。

遺言者本人の印鑑登録証明書

公証人が遺言者の本人確認をするために印鑑登録証明書を用いることがあります。

実印と一緒に用意しておくとよいでしょう。

印鑑登録をしていない場合、運転免許証で確認することが多いと思います。

遺言者と相続人との関係がわかる戸籍謄本

相続人を確認したり、相続人の遺留分を侵害していないかをチェックするために、戸籍謄本を用いることがあります。

受遺者の住民票

相続人以外の人に遺産を遺贈する場合、遺言書でもどこのだれかを住所などで特定する必要があります。

氏名だけですと同姓同名の人が複数いる可能性もあるからです。

そこで、相続人以外の人に遺産を遺贈する場合には、受遺者の特定のために住民票を用いることがあります。

不動産の登記簿謄本、固定資産評価証明書

遺産に不動産が含まれる場合には必要です。

遺言に記載された土地の地番や建物の家屋番号が間違っていた場合などは、遺言の内容が実現できなくなってしまう可能性があるため、不動産の登記簿謄本での確認が必要となります。

また、建物については不動産の登記をしていない場合もありますし、土地についても、以前の所有者から名義の変更をしていない場合もあります。

そこで、固定資産評価証明書で確認することが必要となる場合もあります。

8-2 公証人手数料

公正証書遺言の作成費用は、手数料令という政令で法定されています。

公正証書遺言の作成費用については、日本公証人連合会のHPを参考にして下さい。計算方法がやや複雑ですので、最寄りの公証役場に問い合わせてみてください。公証役場も日本公証人連合会のHPで調べられます。

9 まとめ

今回は、公正証書遺言の効力を否定 (無効) されないための注意点を含め、公正証書遺言の効力全般について説明しました。

公正証書遺言は、法律の専門家である公証人により作成されるので、自筆証書遺言と比べ、方式要件違反で遺言が無効となる危険性を小さくすることができます。

また、遺言書は公証役場に保管されて、第三者による改ざんを防ぐこともできるなど、メリットも多いです。

しかし、公正証書遺言だからといって、絶対に効力が否定されないということはありません。法律の専門家である公証人が作成したとしても無効となることはあります。そもそも、方式要件違反以前の問題として、遺言者に遺言能力がないとして、公正証書遺言の効力が否定されることも増えてきています。

ですから、公正証書遺言であるからといって鵜呑みは禁物です。どういった場合に無効となる危険性があるのかを理解して、公正証書遺言の方式要件に違反せず、遺言者に遺言能力があることに十分に留意する必要があります。

自分の死後、円滑に遺産分割が行われるようにせっかく作成した公正証書遺言が原因で、家族間で紛争が生じることだけは避けたいところです。