相続とは一体何なのか

ところで相続って一体何なのでしょうか。

相続という言葉は日常会話でも普通に使われています。雑誌やテレビなどでも相続という言葉が登場することは少なくないと思います。

ですから、皆さんも何となくイメージはできると思います。

ただ、相続とは厳密には何を意味するのかと言われると難しいですね。

そこで、まずは、相続って何だろうと考えてみようと思います。

相続の本質

実は、相続とは正式な法律用語です。

民法は1414条からなる非常に大部な法律ですが、このうち実に第882条から第1414条までの533条が相続に関する条文です。つまり、民法では、全体の3分の1以上が相続について定められているのです。

しかし、これだけ膨大な条文を定めておきながら、民法には、相続とは何かについてはっきりとは書かれていません。当然のように相続という言葉が使われています。

それでは改めて、相続って一体何なのでしょうか。

その手掛かりとなる条文があります。

民法第882条と第896条です。

「相続は、死亡によって開始する。」(民法第882条)

「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りではない。」(民法第896条)

ここで、被相続人とは、亡くなった方のことを言います。

つまり、相続人は、被相続人が亡くなった時に、被相続人のすべての財産を承継するということです。

これが、相続の本質です。

さらに、ここからは、相続人とは、被相続人の財産をすべて承継する人のことをいうことが分かります。

相続するのは亡くなった方の財産

まず重要なのは、相続するのは亡くなった方の財産だということです。

実は、戦前の民法には、家督相続というものがありました。財産だけでなく、戸籍上の戸主という地位を相続する制度があったのです。

現在でも、誰が家を継ぐのかという話が、相続とからめてなされて大きなトラブルなることは多いです。しかし、現実にはそういう話がなされることが多いとしても、現行の民法では相続するのは財産であることは認識しておく必要があります。

借金も相続する

次に重要なのは、民法第896条の「被相続人の財産に属した一切の権利義務」という文言にも端的に表れていることですが、相続するのは亡くなった方のプラスの財産だけではなく、マイナスの財産も含まれるということです。

例えば、亡くなった方が、家を建てる際に、銀行からお金を借りていたとします。この場合、相続人は、亡くなった方から、土地建物を相続しますが、それとともに、銀行からの借金についても相続することになります。

相続するのは亡くなった瞬間

さらに重要なのは、相続するのは被相続人が亡くなった瞬間だということです。

人が亡くなると、当たり前ですが、その亡くなった方の財産の持ち主がいなくなりますよね。

いつまでも次の財産の持ち主が決まらないままにしておくことを許さないということだと思います。

相続は社会的にも不可欠

以上に述べたことは、法律上、例外が許されません。プラスの財産のみならず、マイナスの財産も相続します。被相続人が亡くなった瞬間に相続が開始されます。

それはなぜか。

プラス・マイナスとも財産の持ち主がいないままにしておくのは、社会的にも非常に困ったことになるからです。

例えば、不動産の登記には所有者が記載されています。その方が亡くなると、存在しない方が所有者となってしまいます。

また、不動産には固定資産税という税金がかかります。固定資産税は不動産の所有者に課税されますが、所有者が亡くなると存在しない方に課税することになってしまいます。

銀行預金は、預金者が銀行にお金を貸していることになります。だからこそ、定期的に利息が支払われるのですが、その預金者が亡くなると、銀行はだれに利息を支払えばよいのか、元金を返せばよいのかわからなくなります。

反対に、家を建てる際には、当然に土地建物に抵当権を設定して、銀行とローンを組むわけですが、その当事者が亡くなってしまうと、銀行としてはだれにローンの返済を求めたらよいのか、最悪の場合、だれに対して抵当権の実行をすればよいのかわからなくなります。

だから、財産の持ち主が存在しないという状態はあってはならないことなのです。

ですから、相続するのは被相続人が亡くなった瞬間だというのは必然のことなのです。

今回、相続とは何かという、最も基本的なことについて述べてきましたが、皆さんは、相続とは、亡くなった方の財産の持ち主を新に決めることだと理解しておいていただければよいと思います。

では、だれが亡くなった方の財産の持ち主になるのか、だれが相続人になるのかについては、次回に解説したいと思います。