マンション管理の話の中で、
一番もめやすいのが、
お金に関する話です。
管理費、修繕積立金、臨時の支出、滞納。
どれも、日々の生活と直結しています。
そのため、理事会や総会では、
- 金額が高いのではないか
- なぜこの支出が必要なのか
- 自分はあまり使っていないのに負担している
といった声が出やすくなります。
このページでは、
管理費や修繕積立金について違和感が出たときに、
いま何が問題になっているのかを、
管理組合の視点で整理します。
よくある出発点は、「なんとなくおかしい」という感覚
お金の話は、
最初からはっきりした問題として出てくるとは限りません。
多くの場合、出発点はとても曖昧です。
たとえば、
- 引き落とされている管理費を見て、「前より少し高くなった気がする」と感じた
- 管理費の内訳を見たことがなく、何に使われているのか分からない
- 決算書を見ても、正直よく理解できない
この段階では、
- 本当に金額が上がっているのか
- 上がっているとして、それが問題なのか
は、まだ分かりません。
分からないから、不安になる。
ここが、話のスタート地点です。
「自分は使っていないのに」という違和感は、どういう話か
次に、よく出るのが、次のような声です。
- 共用施設をほとんど使っていない
- エレベーターを使わない階に住んでいる
- 清掃が入っている時間帯に家にいない
こうした人から、
「自分はあまり使っていないのに、
どうして同じだけ負担しないといけないのか」
という疑問が出ます。
ここで大切なのは、
この声は、
- 管理費の仕組みが間違っている
- 誰かが不当に得をしている
と断定しているわけではない、
という点です。
多くの場合は、
「自分の生活と、この支出の関係が見えない」
という状態です。
ここで話が飛びやすいポイント
こうした違和感が出ると、
理事会では、次のような話に飛びがちです。
- では、管理費を下げられないか
- この支出はやめるべきではないか
- 仕方ないから認めるしかないのではないか
つまり、
- 上げるか、下げるか
- 認めるか、認めないか
という結論の話に、
いきなり進んでしまいます。
しかし、この時点では、
- 何に対する不満なのか
- 誰が、どの点で疑問を持っているのか
- 管理組合として整理すべき話なのか
が、まだ整理されていません。
まず切り分けるべきは、「個人の不満」かどうか
ここで、最初の整理をします。
個人の不満とは何か
たとえば、
- 金額の負担が重い
- 自分は使っていない気がする
- なんとなく納得できない
といった、
感覚や印象の話です。
これは間違いではありませんし、
否定されるものでもありません。
ただし、
その人自身の感じ方にとどまっている状態
でもあります。
管理組合として整理すべき課題とは何か
一方で、次のような状況がある場合は、
話の性質が変わります。
- 同じ疑問が、複数の区分所有者から出ている
- 管理費の内訳が十分に情報共有されていない
- 質問されても、説明できない支出がある
この場合、問題は、
「説明が足りない」
「情報が整理されていない」
という点にあります。
これは、
個人の不満ではなく、
管理組合として整理すべき課題です。
管理費・修繕積立金は、どこから考える話なのか
ここで、順番を整理します。
管理費や修繕積立金は、
「いくら払うか」の話に見えます。
しかし、考える順番は逆です。
本来は、
- マンションを、どのような水準の状態に維持したいのか
- そのために、どんな管理が必要なのか
- その管理に、どれくらいの費用がかかるのか
という流れになります。
この順番を飛ばして、
「高い」「安い」
と判断しようとすると、
必ず意見が割れます。
滞納の話も、まずは状況整理から始まる
滞納が出ると、
理事会では緊張感が高まります。
- 他の人が損をしている
- 早く何とかしなければならない
という感情が出やすいからです。
ただし、この段階でも、
- 一時的な事情なのか
- 長期間続いているのか
- 管理全体に影響が出ているのか
といった整理をせずに動くと、
対応が場当たり的になります。
ここでも、
いきなり結論に進まないことが重要です。
ここで立ち止まって考えたいこと
お金に関する話が出たとき、
管理組合として、
まず意識しておきたいことがあります。
それは、
いま出ている違和感が、
どこに向いているものなのか
という点です。
お金の話では、
- 金額そのものが問題なのか
- 使い道が見えないことが問題なのか
- 管理の考え方に疑問が出ているのか
といった、
違う種類の話が混ざりやすくなります。
これを整理しないまま議論を始めると、
- 話がかみ合わない
- 意見が対立しているように見える
- 結論だけが先に出てしまう
という状態になりがちです。
まず考えたいのは、
金額を決める話なのかどうか
です。
たとえば、
- 説明を聞けば納得できる話
- 管理の前提は共有されている話
であれば、
いまは
「決める段階」ではありません。
一方で、
- これまで当然だと思っていた管理のやり方に疑問が出ている
- 負担の考え方そのものが共有されていない
のであれば、
それは
管理組合として考え方を整理し直す話
になります。
この場合、
金額の話だけをしても、
問題は解けません。
この段階で意識しておくこと
この場面で大切なのは、
「結論を出すこと」よりも、
「どんな種類の問題が表に出ているのか」
を見誤らないことです。
お金の話は、
管理の考え方や価値観が
表に出やすい分野です。
だからこそ、
いきなり決めるかどうかではなく、
どこに違和感が向いているのか
を、
管理組合として共有することが重要になります。
次に進むかどうかの分かれ目
ここまで考えてみて、
- 管理の考え方を変えるかどうか
- 負担のあり方を見直す必要があるか
といった点が見えてきた場合、
はじめて、
次の判断の場面に進むことになります。
逆に、
- 説明や共有の問題だった
- 誤解が原因だった
のであれば、
無理に先に進む必要はありません。
まとめ
この場面は、
「どう進めるか」を考える場所ではありません。
「いま出ているお金の話を、
管理組合として
どういう種類の問題として受け止めるか」
を確認する場所です。
ここを取り違えなければ、
その先の判断は、
ずっと楽になります。
この時点で管理組合がやるべきことは、
次の整理です。
- どんな違和感が、どこから出ているのか
- それは個人の感覚なのか、組合全体の課題なのか
- 説明や情報共有の問題なのか
- 管理の前提に関わる話なのか
ここまで整理できて、はじめて、
- 決める話に進むのか
- 別の場面として考えるのか
が見えてきます。