マンション管理の中で、
理事会が判断に迷いやすいのが、
建物の住み方や使い方に関する話です。
騒音、ペット、共用部分の使い方、用途と違う利用。
どれも、日常の延長で起きるため、
「どこまで管理組合が関わる話なのか」
が分かりにくくなります。
ここでは、
いま起きている出来事を、
管理組合として、どのような種類の問題として整理すべきか
を確認します。
「違反かどうか」を考える前に、確認した方がよいこと
ルール違反の話になると、
つい次の点に意識が向きます。
- 規則に書いてあるか
- 書いてあるなら違反ではないか
しかし実務では、
その前段階で立ち止まる必要があることが多くあります。
たとえば、
- 事実関係がまだはっきりしていない
- 住民によって感じ方が大きく違う
- 昔から続いている使い方である
こうした状況では、
「違反かどうか」を決めようとしても、
話が進みません。
まずは、
いま何が起きているのか
を、管理組合として確認する必要があります。
「住み方の違い」と「管理の問題」は同じではない
この場面で、
最初に切り分けたいのは次の点です。
それは、住んでいる人同士の感じ方の違いが問題なのか
それとも、管理の問題として扱うべきなのか。
生活音の感じ方や、
一時的な使い方の違いは、
住民ごとの生活スタイルによることも少なくありません。
この場合、
管理組合が前に出ることで、
かえって対立が強まることもあります。
一方で、
- 複数の住戸から同じ内容の声が出ている
- 共用部分の使い方として整理が必要
- 規則で定められている事項に関係している
こうした場合は、
管理の問題として考えるべき場面になります。
「誰が困っているか」より「何が起きているか」
使い方の問題では、
次のような見方に引きずられやすくなります。
- 誰が言い出したのか
- 以前にも不満を言っていた人か
しかし、
管理組合として確認すべきなのは、
人ではありません。
どんな使い方が、
どこで、
どの程度起きているのか。
この事実を確認せずに、
個人の印象や評価で判断すると、
問題の本質が見えなくなります。
規則が関係する話か、運用として整理する話か
次に確認したいのは、
規則が前提になる話かどうかです。
ペットの飼育条件や、
共用部分の使用方法については、
管理規約や使用細則で定められていることがあります。
一方で、
- 具体的な生活音の程度
- 一時的な使い方の問題
などは、
規則に細かく書かれていないことも多くあります。
この違いを意識せずに考えると、
「規則違反だ」「いや違反ではない」
という言葉だけが先に出てしまいます。
「前からそうだった」は、整理の理由にならない
使用方法の話では、
次の言葉がよく出てきます。
- 前からそうだった
- 今まで問題にならなかった
ただし、
管理組合として対応する際には、
これらは判断の基準にはなりません。
管理の考え方や、
住民構成は、
時間とともに変わり得るからです。
大切なのは、
いまの状況を、管理としてどう受け止めるか
という視点です。
この場面で管理組合が確認しておきたいこと
ここで意識しておきたいのは、
次の点です。
- これは、感じ方の違いとして受け止める話か
- それとも、管理として整理しないと
同じ問題が繰り返される話か
この切り分けができていないまま、
話を先に進めると、
人間関係のトラブルに発展しやすくなります。
次の判断に進むかどうかの分かれ目
ここまで整理してみて、
- 規則の解釈や運用が問題になりそう
- 管理組合として、一定の判断が必要だ
と見えてきた場合、
はじめて、
次の判断の場面に進むことになります。
逆に、
- 一時的な状況にとどまる
- 個人的な住み方の違いと考えることができる
のであれば、
管理組合が深く関与すべき段階ではありません。
まとめ
建物の住み方や使い方に関する問題は、
正解を急ぐほど、判断を誤りやすい分野です。
この場面で管理組合が大切にしたいのは、
結論ではなく、
いま起きていることを、
管理の問題として扱うべきかどうかを見極めること
です。
ここを丁寧に整理しておくことで、
その先の判断は、
ずっと落ち着いたものになります。