離婚理由には何があるか|性格の不一致は離婚理由になるか、離婚訴訟で認められるための要件について

夫との離婚調停が不成立となったので、離婚訴訟を提起しようと思います。離婚訴訟では離婚原因がないと離婚が認められないそうですが、どのようなものがあるのですか。

夫婦は、協議により離婚することができます(民法763条)。
これを協議離婚といいます。
協議離婚は、離婚する意思と離婚届の提出があればできます(民法764条、739条)。
離婚にあたり、なぜ離婚するのかが問われることはありません。

本人同士の協議で離婚の合意ができず、家庭裁判所で調停離婚する場合も同様です。
離婚する調停が成立すると離婚が成立します(家事事件手続法268条1項)。
当然、調停では、なぜ離婚するのかが話し合われることにはなりますが、調停の成立自体では、夫婦間で離婚する合意さえあればよく、やはりなぜ離婚するのかが問われることはありません。

調停離婚もできない場合は、離婚訴訟を提起することになります(民法770条、家事事件手続法257条1項)。
離婚訴訟では、民法に定められた離婚原因がある場合に限り、判決で離婚が認められます(民法770条1項)。これを裁判離婚といいます。

今回はこの裁判離婚のための離婚原因について説明します。
離婚全般について知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。

1 離婚するための一般的な手続・方法

裁判離婚のための離婚原因について説明する前に、離婚するための手続・方法について簡単に説明します。

離婚には大きく分けて以下の3つの方法があります。

  1. 協議離婚(民法763条)
  2. 調停離婚(家事事件手続法244条)
  3. 裁判離婚(民法770条)

このうち、①協議離婚と②調停離婚は、本人同士の話合いにより離婚に合意した場合に離婚するものです。

①協議離婚は、夫婦が直接話し合い、夫婦に離婚の意思があり、市区町村役場に離婚届が受理されると離婚が成立するものです。

②調停離婚は、夫婦が家庭裁判所の調停で話合い、離婚に合意の上、家庭裁判所で作成される調書に離婚する旨が記載されると離婚が成立するというものです。

離婚調停でも離婚の合意ができない場合、家庭裁判所に離婚訴訟を提起できます。離婚する旨の判決が確定したら、③裁判離婚になります。

手続上重要なのは、離婚訴訟は、まずは離婚調停を申し立てないと提起できないことです(家事事件手続法257条1項)。これを調停前置といいます。

離婚するかどうかは本人同士の意思が重視されます。また、離婚は、本人同士の問題にとどまるものではなく、家族にも大きな影響を及ぼすものですし、離婚に付随して決めるべき問題も多いです。
そこで、裁判で一方的に決めてしまう前に、まずは本人同士で話し合ってもらいたい考えから、調停前置が設けられています。

離婚までには、協議離婚(民法763条)、調停離婚 (家事事件手続法244条)、裁判離婚(民法770条)の順で進んでいきます。

2 離婚訴訟で離婚するには離婚原因が必要

離婚訴訟では、家庭裁判所が、判決で一方的に離婚するかどうかを決めてしまいます。
離婚とは、婚姻と同様、本人同士の意思が大切です。それでも、家庭裁判所が、協議離婚も調停離婚もできない場合に、判決で一方的に離婚するかどうかを決めるのですから、離婚の要件は厳格であることが求められます。

そこで、民法では、離婚訴訟で離婚できる場合は限定されています(民法770条)。この法律上の離婚できる場合を離婚原因といいます。

  1. 配偶者に不貞な行為があったとき
  2. 配偶者から悪意で遺棄されたとき
  3. 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき
  4. 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
  5. その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

民法770条(裁判上の離婚)
1 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
① 配偶者に不貞な行為があったとき。
② 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
③ 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
④ 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
⑤ その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

上の民法770条1項1~5号に掲げられた離婚原因うち、1~4号は具体的な内容ですが、5号は抽象的な内容となっています。
これは、5号が離婚訴訟で離婚が認められる場合の一般的な要件を示しており、1~4号はその具体例と考えられています。

5号の文言からも分かりますが、離婚訴訟で離婚が認められるのは、

婚姻関係が破綻して、回復の見込みがない場合

に限定されています。
1~4号の離婚原因についても、婚姻関係が破綻して、回復の見込みがない状態であることが求められます。

かなり厳格な条件です。
後ほど説明するように、離婚訴訟では、1~4号の要件に該当する程度とまでは言えない場合でも、婚姻関係が破綻して、回復の見込みがないと判断される場合には、5号の一般的条項により離婚を認める判決が出されます。

なお、民法770条1項1~5号の離婚原因がある場合でも、同条2項によって離婚が認められない場合があります。

それでは、以下で、それぞれの離婚原因について詳しく説明します。

2 配偶者に不貞な行為があったとき(民法770条1項1号)

2-1 不貞行為とは

不貞行為とは、自由な意思に基づいて配偶者以外の者と性交を行うことをいいます。

日本の法律では一夫一婦制を採用しており、互いに貞操義務を負っています。不貞行為は、端的に貞操義務(配偶者以外の者と性交しない義務)に違反するものと考えられます。

性交とは、男性器と女性器の結合を意味します。不貞行為とは性交よりも広い意味があるとの意見もありますが、実務上は性交に限定されています。

ただし、仮に性交とはいえず、不貞行為(1号)に該当しないとしても、5号に該当する婚姻を継続し難い重大事由とされることがあります。
また、不貞行為は、自由な意思に基づいて配偶者以外の者と性交を行うことですから、極端なケースではありますが、配偶者が強制性交行為の被害に遭った場合には不貞行為にはなりません。

1回でも配偶者以外と性交をすると、不貞行為に該当するのですか?

不貞行為は文字どおり性交という行為が問題となりますので、長年不倫関係にあったとか、回数とかは不貞行為にあたるかどうかという点では関係ありません。
ただし、不貞行為の回数が多いい場合、慰謝料の金額は大きくなるものと考えられます。

2-2 不貞行為の証明

離婚訴訟において、配偶者の不貞行為を離婚原因として主張する場合は、配偶者の不貞行為があったことを証明しなければなりません。

しかし、不貞行為は密室で行われるものですので、一般に、不貞行為の事実を直接証明するのは簡単ではありません。
通常は、不貞行為を推測させるメール、写真、ホテルの領収書などが証拠とされます。

仮に不貞行為の証明ができなかったとしても、配偶者以外の異性と常識を逸脱した親密な関係にある場合は、5号に該当する婚姻を継続し難い重大事由とされることもあり得ます。

写真などから夫が不貞行為をしたのは証明できるのですが、相手が分かりません。この場合でも不貞行為の証明といえるのですか。

不貞行為で問題となるのは配偶者の行為です。不貞行為があったことが証明できれば、相手が分からなくても構いません。
ただし、相手が分かれば、相手に対して慰謝料請求をすることもできるでしょう。

2-3 不貞行為を許した場合

不貞行為を一旦許した場合は、過去に許した行為を改めて問題とするのは信義則上許されないとして、離婚原因にはならないとした裁判例があります。

ただし、真に自由な意思に基づいて、配偶者の不貞行為を許したと言えるのかどうかについては、慎重に判断する必要があると考えられます。

3 配偶者から悪意で遺棄されたとき(民法770条1項2号)

3-1 悪意の遺棄とは

夫婦は、同居して、相互に生活を助け合う義務があります(民法752条)。

民法725条(同居、協力及び扶助の義務)
夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。

遺棄とは、正当な理由なく、同居、協力及び扶助の義務に違反することを言います。
また、悪意とは、単に遺棄の事実を知っているということにとどまらず、社会的・倫理的に非難されるような意図をもって遺棄するという意味です。

悪意の遺棄で典型的なのは、

・妻に持病があるのに、十分に看護もせずに家を出てしまい、生活費も支払わない
・産まれたばかりの子がいるのに、妻を置いて家を出てしまい、生活費も支払わない

といった場合です。

いくら生活費を支払わないと悪意の遺棄になるのかについては明確な基準はありません。
しかし、夫婦は、相手に自分の生活と同程度の生活を保持させる義務(生活保持義務)がありますから、夫婦それぞれの実際の収入額に基づいて算定された婚姻費用分担額を大幅に下回る金額しか渡していない場合は、悪意の遺棄とされる可能性があります。

また、悪意の遺棄とまでは言えない場合でも、それに近い場合には、5号に該当する婚姻を継続し難い重大事由とされることがあります。

3-2 悪意の遺棄に当たらないケース

実際のケースで、悪意の遺棄にはあたらないとされたものには、次のようなものがあります。

夫が反対しているのに、妻が実の兄を家に同居させ、兄のために夫の財産を使い込むなどして、夫をないがしろにしたため、夫が家を出て、生活費の支払いを拒んだ(最判昭和39年9月17日民集18巻7号1461頁)。

不貞行為を繰り返す夫に反省を求めるため、妻が一時的に家を出た(長野池判昭和38年7月5日家月16巻4号138頁)。

妻が不貞行為をしたため、夫が家を出て、生活費を支払わない場合は、悪意の遺棄になりますか。

妻の不貞行為が原因で婚姻関係が破綻したといえるのであれば、妻が夫に生活費を請求するのは信義則上許されないと判断されることもあり得ると思われます。
ただし、夫が妻と子を置いて家を出た場合には、生活費を全く支払わないことは問題となる可能性があります。

4 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき(民法770条1項3号)

4-1 3年以上の生死不明とは

生死不明というのは、3年間以上、配偶者が生きているのか死んでいるのか分からない状態を言います。単なる行方不明とは異なります。
この状態となりますと離婚原因となります。

継続して3年間以上生死不明がることが必要ですから、途中で生きていることが分かった場合は、またそこから期間がカウントされます。

4-2 失踪宣告との関係

配偶者が生死不明の場合に婚姻関係を解消する方法としては、民法770条1項3号の離婚原因の他に、失踪宣告があります(民法30条)。

家庭裁判所から失踪の宣告を受けた場合、不在者は、生死不明から7年後に死亡したものとみなされます。
ただし、失踪宣告の場合、婚姻関係の終了までに7年もの期間を要することとなるため、3号により、3年間の生死不明による離婚を認めたものです。

5 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき(民法770条1項4号)

5-1 強度の精神病とは

夫婦には、相互に生活を助け合う義務があります(民法752条)。

夫婦が相互に生活を助け合うためには、その前提として、夫婦間において精神的な結びつきが保たれる必要があります。
強度の精神病とは、精神病により、夫婦間が相互に助け合うことができない程度に、精神的な結びつきが失われていることを意味します。

強度の精神病の具体的な病名としては、統合失調症、躁うつ病などが挙げられますが、仮に、統合失調症、躁うつ病であったとしても、夫婦間の精神的結びつきが失われる程度のものでない場合は、強度の精神病には該当しません。

その場合でも、他の事情とあわせて総合的に考慮した結果、5号に該当する婚姻を継続し難い重大事由とされることがあります。

5-2 回復の見込みがないとは

強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとは、厳格に医学的な意味において不治であることではありません。

夫婦には、相互に生活を助け合う義務がありますので(民法752条)、夫婦が相互に生活を助け合うことのできる程度に回復する見込みがあるかどうかという法律的な判断がなされます。

5-3 配偶者が精神病により意思疎通ができない場合

配偶者が強度の精神病にかかっている場合、本人では有効に訴訟行為を遂行することが困難です。
この場合、配偶者が成年被後見人となっている場合は、その成年後見人を被告として、離婚訴訟を提起することになります(人事訴訟法14条1項)。

強度の精神病に罹患している配偶者につき、後見開始の要件を満たしているのに、まだ後見開始決定を得ていない場合、まずは後見開始決定を得てから、成年後見人を被告として離婚訴訟を提起することとなります。

5-4 離婚が認められる場合

配偶者が強度の精神病で回復の見込みがないからといって、それだけで離婚を認めてしまってよいのでしょうか。

強度の精神病の配偶者は、多くの場合、自立して生活する能力を欠いています。
それなのに、今後の生活について何らの方策のないまま離婚を認めてしまうと、離婚された配偶者は、婚姻中のように配偶者からも助けてもらえなくなり、生活するのが困難な状況に陥ることにもなりかねません。

そこで、裁判実務では、強度の精神病で回復の見込みのないことを理由に離婚する場合には、強度の精神病の配偶者の今後の生活の維持について、具体的な方途の見込みが示されていることが離婚の条件として求められます。

民法770条2項では、同条1項1~5号の離婚原因がある場合でも、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができるとされています。

そこで、配偶者が強度の精神病で回復の見込みがなくても、配偶者の生活の維持のための具体的方途の見込みが示されていない場合には、民法770条2項を適用して、離婚の請求が棄却される場合があります(最判昭和33年7月25日民集12巻12号1823頁等)。

民法770条(裁判上の離婚)
1 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
④ 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
2 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

6 その他婚姻を継続し難い重大な事由(民法770条1項5号)

民法770条1項1~4号の条件に該当しなくても、婚姻関係が破綻して、回復の見込みがない場合は、5号により離婚が認められます(民法770条1項5号)。

5号によりどのような場合に破綻が認められるかについては、明確な基準はありません。
様々な事情を総合的に考慮して判断されているのが実務上の運用であり、簡単に婚姻関係の破綻が認められるわけではありません。
それでも、時代の変遷とともに、以前と比べて婚姻関係の破綻はかなり認められやすくなっている傾向にはあると思われます。

婚姻関係が破綻しているかどうかを判断するにあたり、考慮される事項としては、次のようなものがあります。
多岐に渡るのでそれぞれ簡単に説明します。

6-1 原告の離婚意思

せっかく離婚訴訟を提起したのに、原告の離婚意思が強固なものでなければ、家庭裁判所から、婚姻関係の回復の見込みがあるのではないかとの疑念を抱かれる可能性があります。
そうすると、家庭裁判所としては、婚姻関係が破綻しており、回復の見込みがないと判断をすることに躊躇することにもなりかねません。

原告の離婚意思が強固であれば離婚を認められるものでもないのですが、原告の離婚意思が強固である方が、婚姻関係が破綻していると判断されやすいとはいえます。

6-2 被告の離婚意思

原告の離婚訴訟提起に対し、被告も離婚意思を明らかにすれば、もはや争う余地はありません。
双方とも離婚を望んでいるのですから、離婚原因など関係なく、離婚すればよいことになります。

しかし、離婚訴訟を起こされた被告は、内心は離婚意思があっても、財産分与、慰謝料、面会交流などの離婚条件について納得していないため、離婚請求の棄却を求めることが結構多いです。

それでも、被告の応訴態度から、被告に離婚意思があることが滲み出てしまうことがあります。

・原告を刑事告訴する
・原告名義の資産に仮差押えする
・離婚請求の棄却を求めながら、自宅を出た配偶者が用事があって自宅に戻るのを妨害する
・関係修復のための行動が見られない

こういった場合には、婚姻関係を継続する意思がない、つまりは婚姻関係が破綻していると判断されることもあります。

6-3 重大な病気や障害

配偶者が強度の精神病である場合、民法770条1項4号の離婚原因となり得ますが、強度の精神病とは言えないまでも、婚姻関係が破綻する原因となることはあります。
また、精神病以外の病気や障害によって婚姻関係が破綻することがあります。
こういった場合は、5号により、婚姻関係が破綻していると判断されることがあります。

ただし、強度の精神病の場合でも説明しましたが、配偶者が病気や障害を抱えている場合に、それだけの理由で離婚を認めてしまうと、離婚された配偶者は、婚姻中のように配偶者からも助けてもらえなくなり、生活するのが困難な状況に陥ることにもなりかねません。

そこで、裁判実務では、配偶者の病気や障害を理由に離婚を認める場合には、原告が被告の病気や障害について、看病などどれだけ誠意を尽くしてきたか、病気や障害を抱える被告に責められるべき点はないか、被告の今後の生活の維持について、具体的な方途の見込みが示されているかなどが考慮されます。

6-4 宗教活動

夫婦の一方が宗教活動に熱心なあまり、夫婦の相互に生活を助け合う義務(民法752条)が顧みられなくなることにより、婚姻関係が破綻することがあり得ます。

6-5 虐待・暴力

虐待・暴力は、その程度・頻度によっては、婚姻関係が破綻しているとされる重大な事態を招くことがあります。

相手が骨折するような暴力の場合は、1回でも離婚原因となりますが、その程度に至らない場合は、ある程度の頻度がないと離婚原因とはなりません。

身体的な虐待・暴力のみでなく、言葉による虐待・暴力も離婚原因になり得ます。
最近は、言葉による虐待・暴力を原因とする離婚が増えている傾向にあると思われます。

6-6 浪費する・勤労意欲の欠如・多額の借金

夫婦は、相互に生活を助け合う義務があります(民法752条)。
浪費する・勤労意欲の欠如・多額の借金は、相互に生活を助け合う義務を顧みず、一方的に相手に押しつけるものですから、婚姻関係の破綻を招くことがあります。

6-7 親族との不和

夫婦の一方と他方の親族の不和だけでは、夫婦の不和とは言えませんが、夫婦の他方が親族に加担したり、親族との不和解消の努力をしない場合などは、夫婦の不和へと発展し、婚姻関係の破綻を招くことがあります。

6-8 性的不調和

夫婦は互いに貞操義務(配偶者以外の者と性交しない義務)を負っています。
性交とは人間の根源的な営みと考えられますから、夫婦の一方が性交不能であったり、性交を拒否することは、婚姻関係の破綻を招くものと考えられます。
ある裁判例では次のとおり述べられています。

「婚姻が男女の精神的・肉体的結合であり、そこにおける性関係の重要性に鑑みれば・・・婚姻後長年にわたり性交渉のないことは、原則として、婚姻を継続し難い重大な事由に該る」

京都地判昭和62年5月12日判時1259号92頁

6-9 同性愛

同性愛の性関係は、性交(男性器と女性器の結合)ではないので不貞行為(民法770条1項1号)には当たりませんが、それに相当するものとして婚姻関係の破綻を招くことがあります。

6-10 性格・価値観の不一致

配偶者との離婚を希望する理由として最も多いのが、この性格・価値観の不一致です。

婚姻関係事件数申立ての動機別申立人別全家庭裁判所

とはいえ、夫婦はそれぞれ別個の人格を持つのですから、多少の性格・価値観の不一致はむしろ普通のことです。
夫婦関係において求められているのは、性格・価値観の不一致を乗り越えて、相互に生活を助け合っていくことだと考えられます。
そのため、単に性格・価値観の不一致があるだけでは、なかなか離婚は認められません。

お互いに相手を尊重して、自分と異なる考え方にも真摯に耳を傾け、心情を汲む努力を重ね、相互に理解するよう努めたが、それでも夫婦の性格・価値観の隔たりを埋めることができないといった場合に、はじめて婚姻関係が破綻して、回復の見込みがないと評価されることが多いです。

例えば、

・自分は性格・価値観の隔たりを埋める努力をしているのに、配偶者は何の努力もしない
・夫婦が相互に性格・価値観の隔たりを埋める努力を尽くしたが、精神的な結びつきを取り戻すことができなかった

といった場合には、婚姻関係の破綻が認められる可能性がありますが、こういった努力が見られない場合は、たとえかなり長い期間別居等していたとしても、婚姻関係の回復の見込みがないとは言えないとして、離婚は認められないことが多いです。

原告が婚姻関係の破綻原因と主張する事実は、上記認定のとおり、その存在自体が認められないか、存在するとしても、いずれも、性格・考え方の違いや感情・言葉の行き違いに端を発するもので、被告のみが責を負うというものではない。そして、そのような隔たりを克服するためには、相互に相手を尊重し、異なる考え方であっても聞き、心情を汲む努力を重ね、相互理解を深めていくことが必要である。 しかしながら、原告は、独り決めする傾向が見受けられ、被告が後から何か意見などをすると、自分の判断・行動を責められていると感情的・被害的になって受け入れず、被告に自身の精神状況について深刻に相談をすることもしないまま一方的に別居し、別居後も、頑に離婚を主張している。

東京家判立川支部平成27年1月20日判タ1432号99頁

7 まとめ

今回は法律に定められた離婚の条件である離婚原因について説明しました。主なポイントは次のとおりです。

  • 裁判離婚では、家庭裁判所が一方的に離婚を決めるため、離婚は、婚姻関係が破綻して、回復の見込みがないと判断される場合にのみ認められます。
  • 離婚原因について定めた民法770条1項裁判のうち、5号が一般的条項で、1~4号の条件は5号の具体例です。
  • 1~4号の条件に該当しない場合でも、婚姻関係が破綻して、回復の見込みがないと判断される場合には、5号により離婚が認められます。
  • 相手の配偶者が病気や障害を持っている場合は、たとえ婚姻関係が破綻して、回復の見込みがないとしても、相手の配偶者の離婚後の生活の具体的方途の見込みが立たないと離婚が認められない場合があります。

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